マヂカルラブリー単独ライブ「夏です、僕です、た〜んど〜くです。」 2010.8.4


マヂカルラブリーの単独ライブに行ってきた。

どんな単独ライブなのかまったく予想できなかったが、マヂカルラブリーの漫才は好きなので、楽しみにしていた。
すると開演前に配られた演目表にはコントのタイトルばかりが書かれていた。コントしかやらないの?と不思議に思いながら見たのだった。

コント「葬式」
喪服の村上がお悔やみを述べ、野田が生き返って一緒に「にんげんていいな」を2人で。
あそこから出てくるのだろうな、と分かってしまうのだが、2人でする「にんげんていいな」のネタは抱腹絶倒だった。
村上の動きの鈍さが可笑しい。オープニングからとっても盛り上がっていた。

コント「鏡の部屋」
3つの姿見が置いてある中央で椅子に手で顔を覆って座る野田。
何か悩んでいる風で立ち上がって一つ一つの鏡と対峙して語りかけていた。村上がその母として登場して…。というネタだった。
最初はまったく笑わすところがなく、どうなっちゃうのかしら、と思ったけれど、村上の登場でそれがどんどん覆って笑いに変わっていくのが快感だった。
野田は傷ついた少年がなんと似合うことか!

「仮装大賞」
仮装と称して2人が色々な(1発ギャグ的な)ボケをしてくのだった。
最初の「豆腐」は可笑しかったなあ。「ウルトラマン」も勢いで笑った。

コント「へその緒」
体から紐が出ていてその先にはスーツケースが付いている野田。その中身はなんなのか?というコントだった。
全体的に長くてハラハラしたが、最後のツッコミの一言が言いたかっただけ、と考えるととても面白い。
最初の方で、スーツケースが付いていることが普通のことのように振舞う際に、野田が紐を脚に絡ませてイジイジしたり、スーツケースを転がしてみたりするのが、とても自然で野田って上手だなあ、と思うのだった。
今回の単独ライブを象徴しているようなコントだった。

「君が好きだと叫びたい」
「君が好きだと叫びたい」にのせて郵便局員あるあるをする野田だった。
郵便局の制服のヨレヨレっぷりと選曲が可笑しかった。

コント「ブリキのおもちゃ」
息子をなくした老人(村上)が息子にそっくりな人形(野田)を作るが寂しさは募る…というコントだった。
人形についた機能は色々可笑しかったが、最後はなぜいい話なのか?!

漫才「ラップがしたい」
野田の声はいい声だなあ、と思った。最初のカモンに対する村上のツッコミがとても面白かった。
それにしても明るくなったときにサンパチマイクが置いてあったときの安心感がものすごいのであった。

ブリッジ映像「にんげんていいな」*1
公園で「にんげんていいな」を伝えるために日々精進する野田。悩める若者鈴木(村上)*2との交流などのドキュメンタリー(風)。
すべてのブリッジ映像がコレだったけれど、どうにも出来は悪かったと思う。わりとよくあるパターンだし最後にどんでん返しの大笑いを期待しすぎてしまった。
エンディングのわずかなトークの際にブリッジ映像のエンドロールで、たくさんのスタッフ名が出たことを「こんなにスタッフいたんかい!」というのが渾身のボケだったと野田が言っていた。
なるほどねえ、と思うのだった。単独ライブのスタッフも名前を連ねているのかと思って普通に見てしまった。
村上が「それ言っちゃうの?」と言っていたけれど、言ってくれてよかった。あはは。



少しでも多く笑いを取ろうとする人たちが多い中で、細かいボケは要らないから1発大きな笑いが取りたいと思っているのだろうな、と感じた。
それは普段の野田の立ち振る舞いにもあらわれているけれど、それを今回の単独ライブでより強く感じるのだった。
全体的に上手くいっているようには見えなかったけれど、本人達も自覚しているであろう“目の付け所の面白さ”は輝いていたのだった。
私が1番好きだったのは鏡のコントだった。マヂカルラブリーのやりたいことと、見ている側が求めていることが合ったように感じた。
普通のお笑いのライブだったら、こんなにも静寂な時間があったら(演者が)堪えられなくなって細かいボケをいれてきそうなものだが、まったくものともせずに貫き通すのは清いと思った。
明確にやりたいことがあるようなので、今後も頑固にやっていくのだろうな、と頼もしく思える単独ライブだった。

*1:サブタイトルを忘れてしまったが「人間のよさを知る唯一の男」みたいな感じだと思う

*2:本名