東京吉本若手漫才協会本公演〜夏のいろいろ編〜 2011.8.17

東京吉本若手漫才協会本公演を観てきた。毎回とっても面白いネタが観られるライブ。


井下好井「濁点抜き芸人」
「夏にちなむ」という点では、一応導入が夏休みの自由研究として芸人について研究した、ということになっていた。その後の展開は完全に夏とは関係なかったけれど、こういう言葉遊びが井下好井は好きなんだろうな、と思った。最初の方では、あんまりにも無理やりじゃない?と思って見ていたけれど、実際に濁点抜きの会話を始めたらとても面白くなった。もっと丁寧になったらすごく良くなりそうだと思った。

えんにち「彼女とお祭りへ行く」
しょうもないボケの連発で楽しかった。ここまで振り切っていると気持ちが良いし、2人が楽しそうなので見ているほうも楽しくなるのだった。「新喜劇〜」という部分で爆笑した。

マヂカルラブリー「日記」
小学生時代の野田の夏休みの日記を読み上げる、という漫才で、野田クリスタルがただただ正面を向いて語るだけなのである。それが成立してしまうのだからマヂカルラブリーったらすごいわぁ!と思うのだった。日記の内容は「蝉」についてであった。

トレンディエンジェル「今年の夏は女を抱く、スイカ割り」
「斉藤のボケは3種類しかない」だとか「その3つめのボケいきますよ!」と言ったり、自虐的にネタをするのだった。それでも面白いだろう?という自信の現れのようにも思えた。

囲碁将棋「かき氷のシロップ、車vs水」
カキ氷のシロップに関するトリビアから根建の自動車トリビア自慢と文田の水トリビア自慢の応酬であった。「夏」というテーマを無理やり組み込んで、自分達のフィールドに持ってきた感が可笑しかった。あまりにも客席に伝わらない情報を言い過ぎて「分からないでしょ?」と主張しているようで若干鼻についたけれど、囲碁将棋でなかったらありえないネタなので、そういうのってスゴイよね…、と思った。

エリートヤンキー「暑さ対策」
夏の暑さを上回るもっと熱いもので乗り越えよう、というものだった。そのテーマの不条理さがなんだか面白かった。

LLR「甲子園の土」
甲子園の土を持って帰るのに憧れるからやってみよう、と言って、福田がコントに入る、そしてそのコントの構成がどうにも下手でそれを伊藤が注意するという内容だった。ちょっとLLRにはめずらしい感じの内容で「お!」と思ったが、いかんせん未完成すぎて拙いため、ものすごくスベっていた。静まり返る会場と終われないLLRという地獄絵図だった。ここまでシーンとしてしまうと、今後このネタは見られない気がするけれど、完成品を見たいなぁ…。途中「砂を拾え」という言葉はちょっと変なのではないかと思った。

若月「子供が出来たらキャンプへつれていく」
「よい父親になりたい」と言う亮だったが、その父親像がおかしい、という内容だった。最近の若月は亮の失敗で笑うような展開が少なくなって、良いなぁと思う。

デスペラード「こわい話」
武井の怖い話にサラミが怖がるのだが、その怖がる点が…という内容。今までの漫才協会のネタライブではデスペラードはイマイチ面白いネタを出せていなかった気がするが、今回はとても上手くいっていた。相変わらずの毒だし、展開に意外性がなくても内容が充分個性的なのですっごく面白かった。

ゆったり感「英将ラジオ体操」
中村のラジオ体操がある、というネタ。何かに言葉を合わせたり、あるフォーマットのなかでボケをこねくり回すのが、ゆったり感はとても上手なんだなぁ、と思った。

天狗「ラジオ」
浜辺でラジオを聞きながら日焼けする、と言って、おかしなラジオDJを披露するのだった。天狗もまた夏とは関係ない自分達のフィールドへ無理やり持っていっていた。

トンファー「夏休みの自由研究」
お互いに小学生の頃の自由研究のテーマを言い合うが、小浜が毎年「爪」について研究しており…という内容だった。トンファーの漫才で私がもっとも好きな「座薬」のネタの大人になったバージョンといった感じで、ものすごく面白かった。ぶっ飛んだ小浜の発言に普通にツッコんだかと思えば、「そこは流してこっちでツッコむんだ!」という部分もあってドキドキする。その加減が絶妙で素晴らしいと思うのだった。

タモンズ「夏の名曲」
夏の名曲は何かと2人で話し合うネタ。歌詞に関する考察をするのだが、大波の発言にいちいち毒がある。そして後半になってくると安部の考察もでてきて、それが今度はとっても素っ頓狂なのである。大波の毒を安部の発言でまろやかにしているし、タモンズならではの掛け合いにワクワクした。とても面白かった。

ロシアンモンキー「あいにくの雨」
夏はキャンプをしていても、プールに行っても突然雨が降ってきたり、思わぬ出来事が起こるのでそれを回避しよう、というネタ。なんとなく私がいつもロシモンに感じる「え?なんで突然そうなった?」という展開になってしまうネタで、少しガッカリした。大抵そういうときは会場はウケているので、理屈っぽすぎる自分が嫌になる。もっと素直に見ればよいのだと思う。でも後半で同じ展開になるところが面白かった。


今回はテーマが「夏のいろいろ」ということで大分広いのだった。全体的にとても面白かったけれど、だからなんとなくこのライブ特有のものがないような気がした。容易に自分達の得意な方向に持っていけてしまって、ちょっとだけ残念。…なんて私はどれだけ厳しい条件を期待しているのか…。
次回も楽しみ!