POISON GIRL BAND「60分漫才」 2012.3.6

POISON GIRL BAND60分漫才へいってきた。
あんなものを見られて幸せ!すんばらしかった!ポイズンはちょっと本気をだしたら、すぐにスゴイことが出来るんだなぁ…
ネタは4本で、どれも違うテイストで面白かった。しかし最後の「携帯電話」のネタがなんといっても凄すぎる…。抱腹絶倒なのに口をポカンとあけて見てしまった。とにかく凄い!


「吉田がのっぽ」
これは3つくらい大きなテーマがあって、序盤は、阿部が今更吉田の高身長に気づくというもの、次に吉田が高身長ゆえに高いものにライバル意識を持つのでは?という阿部の推測、次に映画館で高身長であることを後ろの人に謝る方法、この3つの流れがとても自然で、次のテーマが見えた瞬間の爽快感が半端じゃないのだった。こういうことって、他の漫才師がだったらもっとヒーヒーいいながらするというか、私がポイズンじゃない人で目撃したら、きっと「すごーい!」とか言ってキャイキャイしそうである。ポイズンは当然のことのようにサラリとやってのけていた。


「喫煙を注意する」
前半、阿部がレストランで煙草を吸っている人を注意する方法を実演してみせるのだった。その実演も物凄く面白いのに、もう全然それを大事にしないで、後半の刺青の部分でぶっ壊すのだった。最後に吉田が阿部のボケをまとめるところがあって、もっとキッチリやったら、バトンのネタのようになるのかな?と思った。


「駄菓子の好きなところランキング」
まさにそのままのネタ。テーマも内容も漫才トークを思い出さずにはおれない。でも実際の漫才トークだったら吉田はこういう話題が大好きだと思うので、ノリノリで「えー?7位それー?俺の7位は…」などと積極的に話すだろうと想像するのだった。吉田が作っているネタだものね…あはは!1位のオチで腹がよじれて戻らないかと思った。


「携帯電話」
このネタの内容を簡単まとめると、携帯電話への着信に出られないのはこんなとき…というのを阿部が説明、そのうち野際陽子の携帯電話を代わりにとる話へ…
これはもう…新しいポイズン?!昔同様に、吉田が完全に阿部のボケに乗っていくのだけれど、それはもう積極的で、もはや追い越してしまっていた。それまでの「拒否」ともとれるツッコミから、真逆!
60分漫才という1つのものとして考えたら、突然のあれはダメなのかもしれないが、そんなことどうでもよい。もの凄いネタだと思った。その追い越していった吉田の一言一言は完全に狂っていて全部面白いのだが、決して大喜利的ではないのだった。連想ゲームのように進んでいくのだけれど、それは万人には思いつかない連想で、ポイズンの中だけで成立している。あの感覚はポイズンの漫才の醍醐味だと思う。


最後の「携帯電話」以外はまるでフリートークのようなのだが、よく考えてみると私の知っているポイズンのフリートークではありえない展開だと思うのだった。フリートークでは、なんだかんだでおかしなことを言うのは吉田だもの…。そう考えると「携帯電話」は物凄くぶっ飛んでいるけれど、私の知っているポイズンのフリートークに近いと思うのだった。
「喫煙を注意する」「駄菓子の〜」あたりでの吉田のツッコミは“本当にイライラしてくだらないことばかり言う阿部に辟易している”という風で、本当に吉田はそう思っているのではないかと感じてしまうほどだった。
しかし、それは「駄菓子ランキング」のネタが行なわれることで違うということがわかる。ネタの最初に「もういい!聞きたくない!」と拒否する吉田を見て「阿部が暴走しているのかな?ランキングを言いたいというアドリブかな?」と思っていると、しっかり「駄菓子ランキング」というネタが始まるのだもの!私はここでやっと吉田の拒否がネタの内だと認識できたのだった。
「もう止めて!俺60分立っていられるかどうかも心配なのに…」などという台詞から、「もしかして腰でも痛いのかな…」と恥ずかしながら心配しちゃったよ…。「演技力」という言葉では表しきれないものがある。
とはいえ、やっぱり今回は阿部が遊んで加えた部分もあると思うのだった。いったいそれがどこなのか、とても知りたいけれど全然分からない…。アドリブと元々ある部分の境目が全く分からないというのもスゴイ!だって、ネタは吉田が作っていて、アドリブでボケているのだとしたら、それは阿部のボケなのだもの…違う人が考えているのに分からないなんて…*1
とにかく今回の60分漫才で、吉田の凄さを身に染みて感じた。考えれば考えるほど、怖くなってくる…。もうあんなに拒否して「聞きたくない」「言わなくていい」とか言っておきながら全部自分で考えているわけだし…。自分で考えたことをあの感じでツっこめるというのは、狂人なのか…二重人格なのか…。
ポイズンはいかにも漫才師風ではないけれど、もう次元が違うくらい上手いと思う。フリートークから漫才のようになるのではなくて、ネタをフリートークのように感じさせるのが凄いところで、「どこまでがフリートークでどこからがネタかわからない」というのは最高の褒め言葉だと思うけれど、ポイズンはその程度ではないというか…。多分…全部ネタなのに「フリートークに見える」ということなのだと思うのだった。

*1:でも一応予想:手帳の色や形を聞いたところ。